私は天然のガット弦が良いとか、ナイロン弦の方が良いとかの偏見はまったくありません。「それぞれに特徴がある」というのが正直な感想です。
 ところが、最近(と言っても、ここ5~6年)ガット弦からナイロン弦に変更する人が多いです。とても音が良いのに変更なのです。その理由は、「演奏中のチューニングの乱れ」です。
 以前ならば演奏中にチューニングが乱れるのは当然のことで、指揮者入場前のチューニングや、楽章間のチューニングは当たり前に、念入りに行っていました。ところが最近はナイロン弦が普及してチューニングが乱れる人が減ったので、楽章間のチューニングが省略されたり、また指揮者入場前のチューニングも形式的なくらいの短時間のチューニングとなってしまいました。もちろんそれが悪いという事ではありません。
 ところがガット弦を使っている人にとっては、これは辛いことです。そんなわけで、せっかく音が良いのに、ガットからナイロン弦へと変更する人が多いのです。・・まあ、それも時代の流れでしょうね。

関連記事: