ここ10年くらい、イミテーションタイプの新作楽器の製作が流行です。イミテーションタイプとは、楽器を作るときに、わざと古い楽器を真似て、ニスを剥がしたり、板に割れを入れたり、響板に傷を付けたり、ペグ穴を埋め直したり、物によっては継ぎネックをしたりと、古い楽器の真似をする製作方法です。

 この手の製作は、ずっと以前から存在していましたが、最近は特に流行のようです。

 私がなぜ、イミテーション新作楽器を勧めないかと言いますと、イミテーション楽器は素人が見て、良い作りなのか、悪い作りなのかが判らないからです。例えば、私が見て、技術的に「酷い作り、下手な作り」を、一般の方は「古さ、雰囲気」と勘違いすることでしょう。

 誤解の無いように言いますが、私はイミテーション新作楽器を否定はしていません。素晴らしい技術の人が作った楽器は、私が見て惚れ惚れするような作りをしています。
 ところが、そんな素晴らしい作りの楽器はほんの僅かです。多くは、製作者の自己満足だけの品質なのです(製作者は、自信満々の事がほとんどです。ナルシスト気味の人が多いかも)。

 いわゆる普通の新作製作の楽器でさえ、演奏者側がその技術を見極めるのは難しいものです。それが、さらに「イミテーション」というコテコテのプラスアルファを付け加えた楽器の場合、演奏者側にその技術を見極めるのは不可能に近いのです。

 それではなぜ、技術が下手なイミテーション楽器が良くないかというと、イミテーション製作の技術が下手な楽器の場合、楽器の本質的な部分の製作も下手だからです。だから、音も良くないし、調整をしようとしてもうまくいかないのです。新作楽器だから根本的なところは健康的と思ったら、大間違いなのです。

 そもそもイミテーション楽器という技法は、修復のための技術です。それが「詐欺的な意図の偽物作り(こちらは論外です)」と「自分の技術のアピール、または自己陶酔」へと進化してしまっているのが現状です。
 大体、イミテーション楽器を作る事で、楽器としてのメリットはほとんどありません。すなわち、それは製作者自身のための技術のアピール(すなわち自己陶酔)であって、購入者の事を考えているとは思えないのです。
 もっとも、これはあくまでも私個人の意見であり、誰が何を作ろうが、そして何を買おうが、自由ではあります。

 

 「普通」が一番大事です。若者が年配者の真似をしたら、どこかにか無理がでます。

補足
 通常の健康的な作りの新作楽器で、ニスだけが「古い楽器っぽく」という程度の場合には、イミテーション楽器とは言いませんので(強いて言えば「イミテーション調」?)、そのような楽器を「買うべきでは無い」とは言いませんので、誤解の無いようお願いいたします。

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