私はこれまでコントラバス奏者(ほぼアマチュアの方ですが)からの依頼は一切お断りしていました。それはコントラバス弓の購入の話とか、営業的には断るにはちょっと未練が残る依頼においてもです。

 その理由は、中途半端にだけコントラバスに関わることは、コントラバス奏者やコントラバス技術者に対して失礼だと考えていたからです。

 それでは普通に、コントラバスも技術対象にしたらよいのでは?と思われるかも知れませんが、コントラバスを扱うためには工房の大きさ、コントラバス専用の道具や機械を揃えたり(その保管場所とか)、私には不可能だからです。だからお断りしていたのです。

 それではなぜ今回、コントラバス用の製品を作ったのかといいますと、そのコントラバス奏者の人柄に私の心が動かされたからです。その方はとても熱心に私のホームページやブログを読んでくださっていまして、今回の”Zauberplatte”に関しても、誰よりも興味を持ってくださっていました。そして私がお断りした後も、私の掲載した写真やブログの細かな言葉、言葉から推測して、ご自分でコントラバス用のエンドピンストッパーを作ったのです。

 しかし、それは私が考案した”Zauberplatte”とは全く原理的に異なっていました。ある意味、私のブログがその方の無駄な努力(決して何事も無駄になる事では無いのですが)を生んでいると、責任を感じたのです。それで、「わかりました、やりましょう!」となったのです。

 勘違いしないでいただきたいのは、そのコントラバス奏者から一度もしつこくお願いされたのではないのです。私の方から、「その人のために作ってみたい」という気持ちをもったのです。

 私はよく、「良い音はどこから出ていると思いますか?」と、質問します。もちろん、楽器や、弓、そして正しい調整からではあります。しかし、究極の答えを言うのならば、その人の人柄、人間性から音は出ていると言えるのです。その人の人柄、人間性が音を構築していると言った方が正しいかもしれません。

 「素直で、美しい心」

 素直な心が聞く耳を生み、美しい心が見る目を生みます。偽善的に聞こえるでしょうか? 本当の事であり、一生をかけて目指す方向です。

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