マイスターのQ&A

ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗

Q:KUN肩当ての脚ゴムの交換の仕方を教えて下さい。

A:KUNの脚には黄色の生ゴムが装着されています。最初の内は調子がよいのですが、次第に劣化して弾力性が無くなり、破れてしまったり、最悪の場合にはゴムの成分が溶けてニスに混じってしまう事もあるのです。従って、肩当ての脚ゴムは消耗品として、時々交換しなければなりません。

シリコンゴムの特徴
 シリコンゴムチューブを利用するメリットは、何と言っても価格の安さです。KUNの純正ゴムを購入すると、4本で1,000円強くらいかかります(作業費別)。これでは気軽に交換する事もできません。その点、シリコンゴムチューブは1mの長さを買っても僅か500円程度です。このシリコンゴムチューブは、東急ハンズなどのDIYショップに売っています。生ゴムの黄色とは違い、透明な色をしています。サイズは、種類が色々とあるのではっきりとした事は言えませんが、私の手元にあるのは外形が約7mm、内径が約5mmくらいのチューブです。

 シリコンゴムチューブの特徴は価格の安さだけではなく、ゴムが劣化しにくくニスを傷めにくいという事、またはシリコンゴムを利用した場合その音の変化もあるのです。この脚ゴムの素材と音の変化については、次に書きたいと思います。その逆に欠点は、生ゴムよりも摩擦が少ないので、楽器から外れやすくなってしまう事や、楽器によってはシリコンゴムに換える事によっての音が合わない事も考えられます。
シリコンゴムの装着方法
 まず大前提は、適切なサイズのチューブを購入するという事です。内径が小さすぎると破れてしまったり、内径が大きすぎると緩くて肩当てが安定しません。演奏中に肩当てが外れてしまうかもしれません。
 基本的にはそのままの状態でチューブを差し込みますが、どうしてもきつい場合にはほんの少しの水を付けると滑りやすくなり、差し込みやすくなります。

シリコンゴムチューブは切らないで装着した方が入れやすいです。

チューブを捻らないように、少しずつ押し込んできます。

出来るだけ深く差し込んだ方が良いでしょう。

最後に2〜3mmの余裕を持って切断します。

KUNの純正のゴムの場合
 KUN純正の生ゴムチューブの交換方法も基本的には同じです(初めから短くカットされていますが)。しかし、上記のシリコンゴムチューブよりもKUN純正生ゴムチューブの方がきつく、差し込むのは難しいです。少しずつ、徐々に押し込んでいくのがコツです。少しだけ水を付けてから押し込んだ方が良いと思います。どうしてもそれでも出来ない場合には、水ではなく潤滑剤を僅かに付けるという方法もあります。こうすると簡単に差し込む事が出来ます。しかし、潤滑剤を塗ってしまうと生ゴムが劣化しやすくなったり、またはチューブが抜けやすくデメリットがありますから、私はお勧めしません。


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