あれは1996年くらいの事だったでしょうか、当時1才の長女と2人で妻の実家の浜松から新幹線で先に帰ってきて、東京駅に着いた時、長女がウンチをしたのでオムツを替える事になりました。私は東京駅だったので、男子トイレにも乳児のオムツを替えるベビーベットくらいはあるだろうと思っていたのです。というのは、ドイツでは男子トイレにベビーベッドがあることは珍しくなかったからです。

 ちょっと臭いをプンプンさせた長女を抱え、東京駅構内のいくつかの男子トイレに行きましたがベビーベットは見つかりません。そこでトイレにいた掃除のおばさんに、「どこかオムツ替えできるところはありませんか?」と訊いたところ、「こっちにおいで」と言って私を案内しました。しかし向かう先は女子トイレです。
 女子トイレに入るのは嫌だったのですが、どうしても子供のオムツを替えなければなりません。そこで、「掃除のおばさんが横に付いていてくれればまあいいか」と思いながら、一緒に女子トイレに入りました。

 さて、オムツ替えをしようと子供をベビーベッドに寝かせたところ、おばさんがスッと女子トイレから出て行ってしまったのです。「オッ〜!」私は取り残されてしまったのです。タイミング悪く、何人かの女性がトイレに入って来ました。「キャー」とまでは言わないまでも、視線が痛かったです。

 私はとにかく目を合わせないようにオムツを替え(これが結構時間がかかる作業なのです)、女子トイレを澄ました顔をして出ました。
 あ〜、恥ずかしかった!あんな経験はもう二度とゴメンです。男子トイレにもベビーベッドは付けてください。
東京駅でのオムツ替え
ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗