現在お預かりしているチェロは私の工房にて販売した楽器なのですが、調整のためにチェロケースを開け閉めする度に、なんとなく違和感を感じたのです。

 最初は気のせいと思ったのですが、それが「匂い」であることに気づきました。

 臭い匂いとかでなくて、どこか覚えのある「匂い」なので、何だろうと考えていて気づきました。カントゥーシャ作の楽器の、ニス(と楽器の内部処理)の匂い(プロポリス成分)だったのです。

 カントゥーシャ作の楽器ならば、最初からそういうものとして取り扱うので、何の違和感も感じないのですが、今回のチェロは別の製作者の作品。それで、似たようなニス成分を使っているのかとも考えたのですが、しかしニスの雰囲気は全く違いますし、なんだろうと思っていたのです。

 そこでようやく気づきました。

 このチェロケースは、私が楽器と一緒に安く販売した中古のケースだったのです。そしてそのケースはもともとカントゥーシャ作のチェロが保管されいたものだったのでした。だからケースに、カントゥーシャ作の楽器の匂いが染みこんでいたのでした。

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