私がいくら「良い楽器」に関してとか、「良い音」についてとかを書いても、ほとんど方からは興味を持ってもらえません。

 また「佐々木さんが、いつもの変なことを言っている」とか、「物好きだねえ」くらいに思われているようです。私にとっては深刻な問題、または大事件くらいの事が、多くの方には大して興味が無いくらいの問題なのです。

 多くの方も、自分の演奏のことに関しては、とてもまじめに、そして熱心に考えています。しかし、私の言っている事に関しては「スルー」なのです。

 前々から、なんでなんだろう?と疑問をもっていました。そこで考えてみたのですが、おそらく次の二つの要因があると思います。

  1. 人はそもそも、自分にしか興味が無い。他人に興味は無い。
  2. 私が言っている「音」が見えていない。理解できていない。

 まあ、1.の事を言い出したら切りが無いので、2.について説明します。私が楽器の性能についてとか、楽器の音色についてとか、またはオーディオの音とかに付いて話をするときに、会話がすれ違いする事が多いのです。それは、お互いの会話の視点にずれがあるからです。

 多くの方は、「音」だとか「楽器」だとか「演奏」だとかを、私よりももっと抽象的に、漠然的に、感覚的に捉えているみたいなのです。だから、私が言っていることが見えていないのです。

 例えば私が弓の性能を説明するときに、弓の性能の要素を細分化(単純化)して、説明します。これと同じで、音質の要因も細分化(単純化)できるのです。そしてその単純になった要素を理解するのです。

 しかし、どうもこういう「単純化」という行為が、「低レベル(低質)」と思われているような気がするのです。だから多くの方は難しい事ばかりを言いたがるのです。

 ちょっと蛇足になりますが、以前私が会話の流れから、「自分が判っていないという事を理解していることが重要なのです」みたいな事を言ったら、そのお客様が「それは、ソクラテスの無知の知の事ですか?」って。・・・・・・・・・違いますよ、私が今この場で言っているのです。おそらく、その方にとっては、現在の目の前の会話よりも、自分の中の「知識」を肯定することが自己満足なのでしょう。

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