私の工房ではB&W CM1という小型のスピーカーを壁につけて聴いています。このスピーカーは小さくて、価格も安いのに音が良いのでかなり満足して使っています。

 しかし最近、ELPレーザーターンテーブル(&レコード)という恐ろしいほどの高音質機器が加わり、出てくる音のクオリティーがぐんと増したのです。それでスピーカーの粗の部分もちょっと感じるようになりました。

 そこで最近高評判のB&W 805D3というスピーカーの音を本格的に聴いてみたいと思っていたのです。オーディオ雑誌や、ネット上の評判では、気持ち悪いくらいこのスピーカーが高評価されているのです。その一方で、その音を疑問視する意見も結構多く存在するみたいです。

 「音の解像感が素晴らしい」とか「スピーカー本体がまるで消える」とか、「現代的なスピーカー」とかの褒め言葉の一方で、「低音が出ない」とかの否定的な意見もあるようです。

 実は私も少し前にオーディオショップにてちょっとだけ試聴したことはあったのですが、今回初めて本格的に試聴させてもらいました。

 805D3を専用のスタンドに固定して、椅子に座って試聴しました。最初はビル・エヴァンス・トリオの「Portrait in Jazz」を聴きました。素晴らしい音の広がりで、「なるほど、素晴らしい音のスピーカーだ」と感心しました。

 次に、私が持参したコントラバス奏者パスキエ演奏 「アルペジョーネソナタ」を再生しました。そうしたら、スピーカーの印象ががらりと変わりました。

 コントラバスの本体の存在を感じられないのです。正確に言うと、高倍音の一部の「ビーッ」という音色の定位はあります。しかし、楽器本体の低い音の存在が感じられません。楽器が見えないのです。強いて例えると、楽器本体は見えないのにコントラバスの渦巻き部分だけが見えるという感じです。こんな奇妙なスピーカーは初めてです。低音が出るとか出ないとか、そういう次元とは思えません。「スピーカー内部で何らかの位相操作をしているのでは?」と勘ぐってしまいました。

 そんなわけで、805D3は却下です。

補足:私は楽器を選ぶときも全く同じですが、このようなオーディオ機器の試聴を行うときには、可能な限り10分以上は聴かないことにしています。最初の数分の印象を大切にしています。さらに、曲を聴かずに、音を無機質に聴くようにしています。なぜなら、CDをじっくり聞き込んでしまうと、その音に馴染んでしまうからです。最悪なのは、曲の素晴らしさに酔いしれてしまう危険性です。

 

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