今日はカントゥーシャ作のヴァイオリンを所有されているお客様で、さらにオーディオにも詳しいお客様が工房にいらして、レコードの話題になりました。このお客様、真空管アンプを自作しているくらいの、マニアなのです(余談ですが、この夏は真空管の熱で室内が暑くて大変だったらしいです)。

 前回いらしたときに、アナログレコード回帰の話をしたのです。そのお客様も、レコードプレーヤーを処分してしまっていて、所有しているレコードが眠ったままだとか。それで最近、テクニクスSL-5の中古を1万円以下の価格で購入して、アナログレコード回帰したとか。

 「いや~、レコードは良いですねえ! A面、B面があるなんて、新鮮ですねえ!」、なんて話題で盛り上がりました。

 それで、中古購入したSL-5についていたMMカーリッジの音質の話題になったのです。そのお客様は、「ちょっと音が物足りない感じがします。やはりMCでなければダメなのでしょうか?」と。

 私は、「そんなことはありませんよ。MMカートリッジの音にはMCカートリッジとは違った音の特徴がありますが、MCと比べて音質が劣るわけではありません」と答えました。

 そこで私所有の3つのアナログプレーヤーで直接比較しました。

  1. Technics SL-10 & EPC-310MC(MCカートリッジ) & Accuphase C-27(MC信号入力)
  2. Technics SL-10 & EPC-P24(MMカートリッジ) & Accuphase C-27(MM信号入力)
  3. ELPレーザーターンテーブル & & Accuphase C-27(MM信号入力)

 比較再生レコードは、このお客様から頂いた、山本邦山氏の尺八演奏によるジャズレコードです。

 一番最初に1.のMMカートリッジの音が出た瞬間、お客様は「ベースの音が家とは違う」とおっしゃりました。次に2.のMCカートリッジで再生したところ、「確かに、MMカートリッジが劣っているわけではないみたいですね」とおっしゃりました。

 おそらく、お客様が中古購入したSL-5についていたMMカートリッジの質(品名は判りません)が悪かったのでしょう。同じMMカートリッジでも、製品によって音質はまるで違います。
 もちろん、フォノアンプのグレードとか、アンプ、スピーカーの違いなどを言い出したら切りが無いので、そのあたりは今回の話題からは除外します。

 私のこれまでの感覚、感想としては、MM(ムーヴィング・マグネット式)カートリッジは磁石という質量の大きな部品を振動させなければならないので、微細(繊細)なレコードの信号再現は苦手です。そのかわり、出力信号が大きいのでSN比の優れた音が出ます。だからジャズとかポップスとかのメリハリのよい音楽再生で理想的な音が出るのです。

 一方MC(ムーヴィング・コイル式)カートリッジはコイルという磁石よりは質量の小さな部品を振動させて信号を生み出す仕組みです。だから繊細なレコードの情報を取り出すことが出来る反面、MMカートリッジとくらべてSN比が劣る感じがします。私のイメージでは、音がボケているのです。良い言葉で例えれば、音が柔らかいイメージです。従って、クラシック音楽とか、環境音再生とかの繊細な音が含まれたレコードにおいて、効果を発揮します。

 今回頂いた山本邦山演奏のレコードでは、MMカートリッジでも、MCカートリッジでも、一長一短はあれ、優劣はないと感じました。

 さて、最後にELPレーザーターンテーブルで再生しました。正直言って、音の広がり方やベース音のしまり具合が全く違うと感じました。

 この手の比較をする時に毎回感じるのですが、ELPレーザーターンテーブルを比較対象にいれてしまうのは反則になってしまうくらい、ELPレーザーターンテーブルの音は。素晴らしいです

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