当時の西ドイツの工業製品のレベルが世界最高品質であったというのは誰でも知っていることですが、ことレコードの品質でも優れています。

 例えばこのオイストラフのチャイコフスキーの録音も、ソ連製のレコードよりも安定感抜群です。レコード盤面のノイズの乗り方がまったく違います。

 私は当初、オイストラフ演奏のチャイコフスキーヴァイオリン協奏曲のレコードは、ソ連製のレコード(写真中左)しか所有していませんでした。その中に録音されているオイストラフの演奏の素晴らしさには圧倒されたのですが、録音品質(特に音の割れ)に関しては、何分古い録音の事なので諦めていたのです。

 ところがその後、シベリウスやハチャトゥリアンなど、ドイツ製のレコードの高音質さを知って、このチャイコフスキーの録音盤もドイツ製を探していました。そしてオーストラリアの中古レコードショップから取り寄せたのです(便利になったものです)。

 さて音質はこの通り、かなり違います。最初がソ連メロディア盤、次が西ドイツ盤です。

 

 私は最初、ソ連メロディア盤の音を聴いて、響きの多いホールの残響音だと思い込んでいました。しかしその反面、音が裏返ってしまうような音の割れ(オーディオの話です)も確認していました。だから「響き」の雰囲気が「割れ」という事も半分は疑っていました。

 今回の西ドイツ盤の音を聴くと、ちょっと物足りない気がしないでもないですが、どちらかというと西ドイツ盤の音の方がオリジナルのオイストラフの音に近いと想像できます。欲を言えば、この中間くらいの音質の方が良かったかも。

追記:記事を書いた後も「違和感」を感じて、両者を何度も聴き比べました。確かに西ドイツ盤の方が安定性が高いことは間違い有りませんが、高音域の響きが消されているような気もします。ソ連メロディアの方が、(ノイズ部分では無い)余韻を感じるのです。
 と言うことで、この録音に関してはどちらの盤も一長一短というのが私の結論です。

追記2:フラジオレットの部分を波形編集ソフトで拡大して、響きの長さを比較してみました。そうしたら意外にも両方で同じ長さでした。

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