「演奏会録音」には、大きく分けて「CD製作用」と「ビデオ製作用」の二通りがあります。

 CD製作用の録音を簡単に言えば、音品質を追求した、高音質、高分解の音を目指します。そのために、比較的舞台に近い所にマイクスタンドを立てることがほとんどです。
 例えば、舞台上の吊りマイクだったり、演奏者の前にマイクスタンドを立てたりして録音します。使用するマイクロフォンの価格も、とても高価なものを使っていることが多いです。弦楽器録音で有名なのは、SCHOEPSだとかDPAだとかでしょうか? ステレオ用2本で50~100万円はあたりまえの世界です。

 一方、ビデオ撮影用の録音の場合には、ビデオカメラの撮影位置で録音することが多いです。というのは、舞台にマイクを立ててしまうと、せっかくの映像の邪魔になってしまうからです。また、CDの音のような高品質録音が、必ずしも映像にマッチするとも限らないからです。下手すると、聴き疲れしてしまうかもしれません。
 または、録音屋さんと撮影屋さんと、写真屋さん、さらにホール技術者とは、それぞれで色々とトラブルになることも多いので、撮影時にはできるだけ舞台まで(または調整卓まで)しゃしゃり出ないというスタンスをとることも重要なのです。

 そんなわけで、ビデオ撮影時にはビデオカメラのすぐ横にマイクスタンドを立てて録音をすることを、私はお勧めしますし、そうしている個人撮影業者も多いです。

 さて、ここからが本題です。「どのマイクロフォンがお勧めなのか?」

 こう言ってしまうと身も蓋もないのですが、マイクの数も価格も形態も、あまりにも数がありすぎて、「全部を実際に購入して(メーカーから借りてテストしても意味がありません)使ってみないことには、わからない」というのが答えです。しかしそんなこと、一生かかっても無理でしょう。

 だから多くの業者は、「定番マイクロフォン」を使うのです。それがベストかどうかはわからないが、確実な性能が確保されており、さらに様々な人によるノウハウが蓄積されているからです。しかし欠点として、そういう定番マイクロフォンって、高価です。

 我々個人事業主や、個人演奏家がビデオ撮影する場合には、予算的な限界も大きいです。おそらく、ステレオ2本で20万円以下、または10万円以下というのが常識的な価格帯になるのではないかと思います。

 そこで私が数本、私の使った範囲ではありますが、お勧めのマイクをあげてみます。

ビデオカメラに装着する、ステレオ・ガンマイク
オーディオテクニカ:BP4029
  これを常にビデオカメラに装着していれば、それだけで間違い有りません。イチオシです。

マイクスタンドを立てて録音する外部マイク
AKG:C414 XLSステレオセット
AKG:B415Bステレオセット
AKG:C314ステレオセット
AKG: C214ステレオセット

・オーディオテクニカ:AT4050

 私の単なる好みなのですが、ビデオ撮影時の録音は、比較的セッティングがしやすくてノイズが少ない「ラージダイヤフラムマイク」が使いやすいと思います。スモールダイヤフラムマイクは繊細で、しかも安いマイクの場合には音が薄っぺらで、あまり良いイメージが無いのです。

 AKGのマイクを多く勧めているのは、ラージダイヤフラムマイクのわりに軽量で使いやすいからです。価格も、むちゃくちゃ高くはないし、信頼性のあるマイクですし。

 もっとも、一押しはBP4029です。

 

補足:上記の「お勧めマイク」は全て、業務用ビデオカメラ(XLRマイク入力)用です。

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