今年の夏は湿度が高く、カビの被害や楽器のトラブルなどが多かったです。つい先日も私の工房のお客と防湿庫の話題になりました。
 私が工房にて防湿庫を利用しているのは、「弦楽器のしくみとメンテナンス」にも書いていてそこそこ知られていることです。それまでは防湿庫は弦楽器には良くないという常識があったのですが、うまく使えば十分活用できるという証明にもなったのです。当の防湿庫メーカーの方が、そういう活用法もあるのかと、「楽器専用防湿庫」として後追いしたくらいなのです。
 さてさて、プチ自慢はこれくらいにして、防湿庫についてです。
楽器専用防湿庫は必要ない?
 楽器専用の防湿庫には、除湿機能だけでなく、保湿機能も付いています。しかし私はこの機能は必要ないと思います。私の経験では、防湿庫内に照明とかを当てない限り、楽器にトラブルが生じるほどの過乾燥になった経験はありません。
 あまり必要性を感じないのに値段が高いのが最大の欠点?です。写真を見る限り、大きさ的にはギターの所有者にはベストかもしれませんね。チェロはどうなのか??
楽器ショーケースにしてはいけない
 多くの方は、どうせなら愛器を展示できれば一石二鳥になると思っているようですが、これは良くないです。防湿庫の周りがガラス張りだと、光が入って内部の温度が変化しやすくなったり、楽器のニスに紫外線が入り、ニスの退色が起こってしまうかもしれません。紫外線カットのガラスであっても、何らかの影響はあるのです。
 防湿庫は全面のガラスを覆ってしまうか、またはあまり明るくない部屋に防湿庫を設置すべきでしょう。庫内に照明を設置するなどは、もってのほかです。
縦型か横型か
 防湿庫には縦に長いタイプと、楽器を横にねかせておけるタイプがあります。私の工房で使っているタイプは後者です。縦型の場合には、楽器を吊ることになります。吊り金具を自作したり、吊ったときに楽器同士がぶつからないように調整したり、ちょっとした専門技術が必要となります。
お勧めのものは
 予算だとか、防湿庫メーカー(東洋リビング、 トーリハン・・)によっても色々あるので具体的には「これ」とは言えないのですが、横置きの業務用タイプ(グレー色の)のものがお勧めです。価格も10万円代で極端に高くもなく、また奥行き寸法もいくつかあるので用途によって選べます。
過低湿度に注意
 カメラ用の防湿庫は30~50%くらいになるように設定されていますので、標準設定では乾燥しすぎます。湿度設定を「弱」にして湿度が50~55%くらいになるように注意しなければなりません。冬には場合によってはコンセントを抜いた方がよい場合もあるかもしれません。
棚板に注意
 業務用機の場合には棚板は単なる鉄板なので問題ないのですが、一般用のカメラ防湿庫の場合には青色の柔らかいシートが貼られています。一見、楽器にとって良さそうですが、これは良くないのです。青色の微細な毛がニス層に入り込んでしまうからです。
 このようなタイプの棚板の場合には厚手の透明シートを敷いてください。
過信しない
 防湿庫に付いている湿度計が正確とは限りませんし、また防湿庫に入れておいたからと言ってカビとかニカワのトラブルが出ないとも限りません。時々楽器を取り出して、演奏したりチェックしたりすることが何よりも大切です。防湿庫には殺菌作用はありません。
ついでにカメラなども
 もちろん楽器だけでなく、余ったスペースにカメラ、大切なフィルムやビデオ(DV)テープなどを入れておくと良いでしょう。
こんな人にお勧め
・楽器のニスが柔らかめで、ケースに入れておくと跡が付いてしまう。
・複数の楽器を所有している人。
・長期間楽器を弾かない人。
・家の中がジメジメしているとかカビっぽくて、楽器に対して心配な人。
・古い楽器などで、ニカワのトラブルが多い楽器。

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