よく、「楽器の購入を検討しているけれど、どのくらいの予算を考えたら良いでしょうか?」というような質問を受けます。

 しかし、その方の「演奏のレベル」や、「熱心度(演奏を生活の中でどのくらい重要視しているか)」、「年齢」、「現在使っている弓の性能」、「予算」、等々、簡単に答えられるほど単純なものではありません。特に、私の工房のお客様ならまだ、これまでの経験からの会話が成り立つのですが、メールや電話での問い合わせでは、答えようがないというのが正直なところなのです。何も、意地悪で答えないわけでは無いのです。

 無茶を覚悟の上で、あえて答えるとしたら、「最初は高いと思われるかも知れませんが、良い楽器を購入した方が、後々損をしませんよ」と言います。それではその「良い楽器」がいくらなのか? それはその方の上記のような諸条件によってことなってきます。子どもの場合には「50万円くらい」と言うかもしれませんし、初級者大人の場合には「100万円前後は」と言うかもしれません。上手な方の場合には、「200~400万円」の高価な楽器を薦めることもあります(ヴァイオリンの場合)。

注意:この価格の例は2015年時点のものです。楽器や弓の価格は、年々かなり高くなっていますからご注意ください。

 ケースバイケースで、そう簡単には答えられないのですが、「良い楽器は高いのですが、後になってみたら『安い』です」というのが私の持論です。

 ちょっと特殊なのは、ヴィオラとチェロ(私の工房では扱っていませんが、コントラバスも)の場合です。これらの楽器はヴァイオリンとくらべて数が少ないので、本当に良い楽器と巡り会ったら、多少高くても(割高に感じても)手に入れるべきと思います。「本当に良い楽器」というのが難しいポイントであるのですが。

 ただ、何度でもしつこいほど言いますが、良い弓(ラベルとか価格ではありません)無しには楽器を知ることは原理的に不可能です。だから私は弓の話をするのです。

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