私の師匠のカントゥーシャ作のヴァイオリンが手に入ったとき、いつも手元に残しておこうか、それとも販売しようか迷います。

jkantuschervn2

 手元に残しておきたいという理由は、「想い出品」と言うよりは「技術見本」としてです。独立して結構の年が経った今でも、師匠の目(上から見られる緊張感や技術的な指導)が欲しいと思う事もあるのです。

 特に今回入手したヴァイオリンは、これまで以上に特別な、遺作にちかい楽器なだけに、今でもどうしようか迷っています。

 しかし、楽器は使われて初めて生きます。大切に、そして喜びを持って使われる事こそが、その楽器にとって本望だと思います。大切な師匠の想い出の作だからこそ、自分が所有しない方がよいとも思うのです。

 もう一つの理由は、収入的なことです。楽器を販売して、利益を得てこその「プロフェッショナル」です。そしてその利益で、工房を未来に向けて運営すべきなのです。それは結局のところ、師匠の技術や遺志を継承する事になると思うです。

関連記事: