以前に、このブログで紹介したことがある、プロのコントラバス演奏家の方から、再び感想のメールを頂きました。この方は、私の弓の性能の理論に賛同して頂き、ご自分でそれを実践して、実際の演奏活動やお弟子さんへの教育に応用してくださっているようなのです。

 私の工房ではコントラバスは扱っていませんので、私自身が具体的な協力をしたわけでは無いのですが、私の弓に対する理論・考え方を積極的に理解してくださっている方です。そしてその理論を基にして、ご自分で弓竿の腰の強い弓を購入して、「圧力を意識した演奏」を行って、演奏者仲間からもそこから出る良い音(音量の大きさ、そして遠くまで届く芯のある音)を評価されたとのメールを頂いたのです。

 しかし、意外なのは、同僚に「良い音」自体は評価してもらえても、「圧力をかけての奏法」は理解してもらえないとのことでした。なぜならば、「圧力=悪」または「完全脱力=正義」という間違った常識が浸透してしまっているからなのです。従って、「圧力」という言葉自体を拒絶してしまう風潮なのです。どうやらコントラバスの世界でも、ヴァイオリン~チェロと同じような、間違った演奏理論がはびこっているようです。

 その方は、私の「音楽界も、スポーツ界を見なうべき。スポーツ界に『スポーツ科学』という言葉はあるが、演奏界には無い」という言葉を受け止めてくださり、実際に「スポーツ科学」を勉強するために、スポーツトレーニングにも通って、筋肉の理想的な動かし方まで勉強しているそうなのです。素晴らしいです!コントラバス界には、こんなに真面目で、音に対して素直に追求している人がいるのです。

 そのコントラバス奏者の話では、やはりスポーツトレーニングでの考え方においても、私の主張しているとおり、「完全脱力からは理想的な筋肉の運動は行えない(『脱力』とは『力を入れない』という意味ではなく、を理想的に動かせる筋肉の『状態』の意味)」という、当たり前のことを習っているということでした。実際にご自分で体験するなんて、素晴らしいです。

 さらにさらに、私が嬉しいのは、その方は、私の「音叉が重要」という考え方まで取り入れてくださって、お弟子さんのレッスンに「音叉によるチューニング」を取り入れてくださったとのことです。そうしたら、音を聴く能力が格段に上がって、音程が格段に良くなったとのこと。

 ご自分の演奏家としてのプライドを捨てて、貪欲に音を、そして演奏を追求する音楽家がいらっしゃることに、私は敬意を表します。

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