一眼レフデジカメによるラベル撮影
2001.4.11 ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗
前回、デジカメを利用したヴァイオリンのラベル撮影に関して書きました。フィルムを使った撮影と異なり、その場で露出やピントなどが確認できることが、何よりも便利と感じました。そこで今回は、より高度で、しかもより簡単な撮影を行う目的で、一眼レフデジカメを利用しての撮影を試みてみました。
- 一眼レフデジカメのメリット
- 一眼レフデジカメは、普及タイプのデジカメと比べると非常に高価ですが、露出、ピントの精度など、より高度な撮影が可能です。それはある意味では、「より簡単な撮影」とも言えるのです。例えば、適切なレンズとストロボを組み合わせることによって、接写のような複雑な露出やピントの作業も、ほぼ「シャッターを押すだけ」で済んでしまいます。これは前回に行った一般的なデジカメを利用した接写作業よりもはるかに簡単なのです。
- 一眼レフデジカメを利用したラベル撮影の欠点
- 一般的に、一眼レフデジカメで接写を行う場合、「マクロレンズ(上写真の左上)」を利用します。しかしこのマクロレンズの焦点距離は100mm位の事が多いので、このままf孔の中を撮影しても、次の写真のようにラベルの一部分しか写すことはできません。少々専門的な補足をすると、一眼レフデジカメの撮影素子の大きさがAPSサイズのために、100mmマクロレンズの実焦点距離は160mmもの望遠になってしまっているからです。すなわち、もっと広角レンズでの接写を行わなくてはなりません。
一般的なマクロレンズ(100mmMacro)で撮影したラベル
- 広角ズームレンズ+エクステンションチューブの利用
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一眼レフデジカメを利用したヴァイオリンのラベル撮影を行うためには、広角のレンズで接写しなければなりません。しかし、普通の広角レンズでf孔の穴に近づいて撮影しようとしても、ピントが合う範囲の距離を切ってしまうのです。そこで考えたのが、「広角ズームレンズ+エクステンションチューブ」です。
エクステンションチューブとは、「接写リング」とも言い、ピントの合う距離を短くすることができるのです。すなわち、f孔により近づくことができます。広角レンズでf孔にギリギリまで接近して撮影することにより、f孔の中の広い視野を撮影することが可能になります。
28〜105mmのごく一般的なズームレンズに、エクステンションチューブを接続したところです。これによって、広角レンズでも接写撮影が可能になります。
28〜105mmズームレンズに接写用リングストロボを付けた状態。ちなみに、標準では28〜105mmズームレンズにはリングライトは付きませんが、
レンズ前に「リングライトアダプター58」というアダプター(約\850)を装着することで、リングストロボを付けることが可能になります。
- ラベル撮影の実際
- 広角ズームレンズにエクステンションチューブを付けて、ヴァイオリンのラベルを撮影してみました。前回の普及タイプのデジカメを使った撮影と同じくらいの画角が確保できていることが判ると思います。逆に言えば、普及タイプのデジカメならば、何の苦労も無しにこのくらいのラベル撮影ができてしまうのです。
さて、一眼レフデジカメでラベルを撮影してみて感じたのでは、露出やピント合わせなどが簡単にできると言うことです。下の写真も、フルオートの露出です。前回の普及機デジカメを利用したラベル撮影の時には、ずいぶんと試行錯誤をしながら撮影し、その中から「最良の1枚」を残したのですが、今回の一眼レフデジカメの場合にはそのような苦労は必要ありませんでした。