マイスターのQ&A

ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗

:表板の材料の「松」と「唐檜(トウヒ)」は何が違うのですか?

:これは学名の分類上の違いですので、こと弦楽器に使用される松に関していえば、同じものを指しています。
 弦楽器の表板に使用される木材の「フィヒテ(ドイツ唐檜)」は、学名分類上では「マツ科」になります。そしてそれを更に詳しく分類すると、「マツ科のトウヒ属」となるのです。従って「松」と呼ぶことも、「唐檜」と呼ぶことも間違ってはいないのです。正確に言えば、「マツ科トウヒ属のドイツ唐檜」と呼ぶべきでしょう。ちなみに、よく、「日本の松に例えると蝦夷松(エゾマツ)・・・」という説明も見かけますが、この蝦夷松もマツ科トウヒ属に分類される樹なので、ドイツ唐檜と性質が似ているからです。
 注意しなければならないのは、「マツ科マツ属」の意味での「松」とは種類が違うということです。

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