マイスターのQ&A
ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗
Q:「ゴールドブラカット」? それとも「ゴールドブロカット」?
A:これらのどちらの呼び方でもかまわないと思います。弦の袋には確かに"brokat"と記載されています。従ってこれを自然に読むと「ブロカット(またはブロカート)」になります。しかし、業者間では「ブラカット」と呼んでいます。このどちらが正しいとかの答えはないと思いますので、余り気にする必要はないでしょう。ちなみに"Goldbrokat"とは直訳すると「金襴緞子」です。ゴールドブラカット0.26弦の、きらびやかで、しかしギスギスしていない音を表現したのでしょう。
余談ですが、私がドイツに住んでいた時の話しです。ヘレンキームゼー宮殿に行き、ドイツ人ガイドの説明を受けていたところ、「…ルートヴィヒ14世が…」と説明しているのです。最初私は「へえ、ルートヴィヒ2世の子孫がいるのかな?」と思ったのですが、ガイドの話しを聞いている内に、それが「ルイ14世」であるということがわかりました。
各国が混じり合っている西洋において、発音の仕方・差など日常茶飯事で、大して気にも留めていないようです。ゴールドブラカット(またはブロカット)の呼び方も、どうでも良いことだと思います。