マイスターのQ&A
ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗
Q:指板の修理をしたら、指板の色が変わってしまいました。悪影響はあるのでしょうか?
A:おそらく、「指板の修理」とは、指板を削ったのだと思います。そして、それまでは黒く光っていた指板が、指板修理の後にツヤが無くなってしまったために心配されたのではないでしょうか?
さて、ここでご質問に対する答えです。指板調整によって色(ツヤ)が変わってしまったということですが、これ自体は全く問題はありません。大切なのは、きれいな曲線(円弧)で指板が削れているかどうかです。もちろん目で見て、ボコボコしているものは論外です。ツヤのある処理自体に問題はないのですが、ツヤがあるからといって正確な指板とは限らないのです。
私個人の好みとしては、ピカピカ光った指板は安っぽい感じがするので、私は「ツヤ消し」の仕上げをします(コンパウンドなどで磨きません)。もう一つの理由としては、コンパウンドで磨くときに、ある部分だけを強く擦ってしまうと、せっかくきれいに仕上げた曲線の一部分が、微妙に凹んでしまうのです。これでは何のための「仕上げ」なのか分からなくなってしまいます。