マイスターのQ&A

ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗

:「ニス」と「ワニス」の違いは何ですか?

:私もヴァイオリン製作の勉強を始めたばかりの頃には、同じ疑問を持っていました。私の場合、「ワニス」とは「和ニス」だと思っていたのです。しかしこれはとんでもない間違いでした。
 この答えは、元々の"varnish(ヴァーニッシュ)"という語源が「ワニス」という呼び方で日本に伝わり、それが省略化されて「ニス」となったらしいのです。従って「ニス」と「ワニス」は全く同じものなのです。正式な日本語としては「ワニス」が正しいようです。

 余談になりますが、日本では「アルコール・ニス」という呼び方をしますが、英語やドイツ語の場合「アルコール」ではなく「揮発性」という呼び方をします。従って英語の場合には"spirit varnish"、ドイツ語の場合には"Spirituslack"となるわけです。ちなみにドイツ語ではニスのことを「ラック」と呼びます。日本では「ラッカー」というと安物の工業製品をイメージしますが、ドイツ語の場合はヴァイオリン用のニスでも「ラック」なのです。

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