マイスターのQ&A
ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗
Q:肩当てが外れやすくて困っています。
A:ブリッジタイプの肩当てが外れやすいのは、ある程度は仕方のないことです。しかし「最近急に・・・」という方は次の2点をチェックしてみてください。
- ゴムの劣化
- 肩当ての脚のゴムが劣化すると、ゴムの摩擦係数が落ちてしまいます。すると肩当てが外れやすくなってしまいます。この様な場合にはゴムを交換するだけで、症状が改善される場合もあります。
また、ゴムが酷く劣化したまま使い続けると、ニスに悪影響を与えてしまいます。ゴムが劣化して柔らかくなった状態(ゴムに透明度が無くなり、黒っぽくなります)で使っていると、それがニスに染み込み、ニスを溶かしてしまうのです。
こうならないうちに、ゴムを交換すべきです。しかし、交換ゴムの値段は製品にもよりますが1個300円〜400円もします。これを4つ購入するだけで、ずいぶんな額になってしまうのです。従って、肩当てのその他の部分が傷んでいる場合(例えばスポンジが磨り減っているとか)には、思い切って買い換えてしまうのも手かもしれません。また、東急ハンズなどで「シリコンチューブ」を購入して利用するのも手でしょう。このチューブは「若干薄手」なこと、「サイズが少し緩め」、「適切なサイズを購入するのが面倒」などの欠点はありますが、値段は安く押さえることができます。
- 肩当ての脚部分の固定ネジの緩み
- これは多くの方が無頓着になっているポイントです。下写真のネジは、演奏をしている内に緩んできます。すると肩当ての脚が開いてしまい、外れやすくなるのです。
この様な場合ネジをきつく締め直すだけで症状が緩和されることもありますので、肩当てを装着する前にネジの緩み具合をチェックする癖を付けるべきでしょう。意外なほど、ネジは緩むものです。
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