マイスターのQ&A

ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗

Q:ヴィオラ用のアゴ当ては、ヴァイオリン用とは異なるのですか?

A:ヴィオラ用のアゴ当ても、ヴァイオリン用のアゴ当ても、基本的には同じ物と言ってもよいでしょう。というのは、ヴィオラであってもヴァイオリンであっても、人間のアゴ自体に変わりはないからです。

ヴィオラに装着するアゴ当て
 ヴィオラに装着するアゴ当てもヴァイオリンに装着するアゴ当ても、基本的には同じ物です。しかし、ヴィオラの楽器のサイズが大きいために、見かけ上アゴ当てが小さく見えてしまうのです。この意味から、ヴィオラには「中〜大きめのサイズのアゴ当て」が用いられることが多いようです。但しこれはあくまでも見た目の効果のはなしであり、小さめのアゴ当てを装着することが良くないという意味ではありません。
 その逆に、手作り(特注)のアゴ当ての中には、ヴァイオリンとヴィオラのサイズの対比でアゴ当てまで拡大したような大きなアゴ当てが着いているものもありますが、これではアゴにフィットしない、重さが重くなりすぎる等のデメリットが生じてしまいます。
ヴィオラのアゴ当ての金具
 一般的には、「ヴィオラ用のアゴ当て」と言った場合、アゴ当ての大きさのことではなく、金具の長さのことを指します。すなわち、ヴィオラの横板の幅はヴァイオリンよりも広いために、ヴァイオリン用の金具では物理的に装着できないのです。
 また、時々ヴァイオリン用の金具を限界まで伸ばして、ヴィオラに装着しているものも見かけますが、これでは金具のネジ部分が弱くなり、その部分が曲がってしまいます。すると、アゴ当ての角度が変わってしまうのです。これでは正しく楽器を持つことができません。ヴィオラ用にはヴィオラ用の金具を付けるべきです。
 なお、ヴィオラ用の金具にも、ヴィオラの大きさによって2〜3種類の金具の長さが存在します。

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