ラベル撮影のさらなる試行錯誤

2004.5.18 ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗

 以前、デジカメによるラベル撮影について書きました。その後、より良い撮影を行うために試行錯誤をしましたので、今回はそれについて書いてみます。

ヴァオリンのラベル全体を撮影するために
 前回のレポートにおいてのラベル撮影では、ラベルの一部分のみしか撮影する事ができませんでした。そこでより全体を写すために色々と試してみました。

 ラベル全体を写すためには、f孔により近い位置からf孔から広角レンズで覗き込むように撮影する必要があります。しかしあまり広角過ぎると、今度はラベルが歪んで写ってしまいます。また、使用するレンズと最短撮影距離との制限もあります。
 色々なレンズで試してみたところ(使用デジカメは35mmフルサイズのCMOSのEOS-1Ds)、24mmの単焦点レンズ辺りが良いという結論に達しました(CCDサイズの小さな一眼レフデジカメの場合には、かならずしも24mmの焦点距離のレンズが良いとは限りません)。というのは、ズームレンズよりもコンパクトなのでf孔により近づく事ができ、そして最短撮影距離がズームレンズよりも短いという事です。
具体的な撮影装置
 前回の撮影ではリングライトを利用して撮影しました。しかし今回の撮影ではf孔ギリギリまでレンズを近づけるために、リングライトを外しました。そのために照明が暗く、三脚に固定する必要性が出ました。またf孔にギリギリまで、しかし慎重にカメラを近づけるために「マクロスライダ」を三脚に装着して、カメラをそのマクロスライダに固定しました。これによって、カメラの位置を微調整する事が可能になります。

 次に重要な問題は、「撮影最短距離」です。いくら広角単焦点レンズと言えども、25cmくらいまでしか寄る事ができません。これではf孔から覗くようなラベル撮影は不可能です。そのために前回同様、12mm厚みのエクステンションチューブを利用しました。正確に言えば、今回の私の利用するデジカメとレンズ、撮影対象との相性からエクステンションチューブの厚みが僅かに厚すぎました(ピントが合いません)。そこで写真のエクステンションチューブは、改造して厚みを1mmくらい薄くしています(これが薄く削る限界です)。

 撮影ライトはf孔の中に修理用のライトを差し込んで撮影しました。

撮影結果
 上の画像が今回撮影したラベルです。前回のラベル(下写真)よりも僅かですがラベル全体が写っています。

今回撮影したラベル:ラベルの文字が切れていない

前回撮影したラベル:ラベルの全体を写す事ができなかった

改善余地
 前回のリングライト+28mmズームレンズ(エクステンションチューブ装着)で撮影したラベルと比べると、ラベル全体を見渡す事ができ、撮影データとしてはより良いものになったと思います。しかし中間リングの厚みの制限から、ピント合わせがとても難しいのです。そのために絞りをもう少し絞り込む必要があるようです。そうすると、もう少し明るい外部照明も必要になります。

 欲を言えば、まだ完全な範囲を撮影できていないという事と、それと矛盾する内容ですが、ラベルの歪みの問題もあります。アイデアとしては、中望遠マクロレンズを使い、ラベルを部分的に撮影してそれを合成するという方法も考えられます。しかしそれについてはまだ効率の良い撮影方法がありませんので、追々撮影レポートを発表したいと思います。
 

最後になりますが、前回のラベル撮影レポートを掲載したときに、数名の方からいくつかの撮影のアドバイスを頂きました。感謝致します。また何か気が付かれた事があればよろしくお願い致します。

 

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