私は以前から、新規依頼のお客様に対して一貫して、「最近他店(オークションや個人売買も含む)で購入された方は、お断りしています」と説明しています。

 ほとんどの方は、ちょっと残念な感じで、または中には不機嫌な声にもなりながらも理解していただけるのです。

 しかし、中には「どうしでダメなんだ」とか「困っている人がいるのに断るのは無責任ではないか?」とか、または「断るくらいなら、なぜインターネットで公開しているのだ?」とか、無茶苦茶な事を行ってくる人も結構多いのです。皆さんが想像する以上に、色々な事を主張する人がいるものです。

 私が弦楽器業者というだけで、私にも責任(義務)があると勘違いしているのです。まったくありませんから。
 医者の場合には、国家の医療制度のもとに手厚い補助がありますから「義務」も生じるのですが、我々に義務は全くありません。あるのは、私のお客様に対してです。

 そういう人のある特徴があるのです。それは電話の話の中で、相手がポロッと言ってしまって知るのですが、その特徴は「私の工房に近い」とう共通点です。

 すなわち、「近くて便利だから私の工房を活用したい」という、結局はそんなものです。近い人ほど、私の技術とか、考え方とかには興味は無く、自分にとって便利かどうかという利己的な考え方の人が増えるのです。もちろん、素晴らしいお客様もたくさん居ますけれど。

 私の工房は「コンビニ」ではありません。

 私の工房のお客様でも、遠くからいらっしゃるお客様ほど礼儀正しく、時間を守り、そして楽器の取り扱いもすばらしいものです。それだけ意識が高いのです。

 

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