指板に弦の跡が深い溝になって付いている方がいます。もちろん全ての方において、楽器を弾いているいじょうは大小こそあれ指板は傷むものです。しかし、「傷みやすい方」もいらっしゃることは事実です。

 弦の跡が、特にポジション位置が掘れてしまっているのです。これは演奏の度合いによって起こるのかというと、そうとは限らないようです。

 例えば、今日いらしたヴァイオリン奏者の方は頻繁に調整(弦の交換や毛替え)にいらっしゃるのですが、その度に「指板が悪ければそれも調整してください」とおっしゃるのですが、ほとんど指板は傷んでいません。少し前に指板の反りが悪くなっていて削ったことはあるのですが、弦の溝跡ができてしまって指板を削った記憶が無いのです。

 逆に、頻繁に溝が出来てしまって、指板を削ったり、または埋めたりする修理を行う方もいらっしゃります。もちろんそれらの方々の楽器の指板の質が悪い(柔らか)と言うことはありません。

 すると、あと考えられる要因は、弦を押さえる力加減だと推測できるのです(長年調整をしていない方、弦を交換していない方は論外です)。

 上手な演奏者は、力まずに弦を押さえるので、指板が傷まないのだと思います。それはイコール、指の効率的な運動(素速く指が動く)にもつながっているのかもしれません。

 アマチュアの方で、さらに生真面目な方は、正しい音程を押さえようとするあまり、無意識に、弦を必要以上に強く押さえてしまっていて、それが指板の劣化につながっているかもしれません。従って、必ずしも悪いこととも言えないのです。

関連記事: