以前私の工房でJAEGERのヴァイオリンケースを購入してくださった方が、「運搬中にケースを倒してしまって・・」と、急遽点検にいらっしゃいました。

 結果、なんともなかったのですが、本当に良いケースとはこのようなときに、楽器の運命の岐路を良い方向に導くのです。事実、軽いだけのいい加減なケースで、似たようなの事故において、もっと深刻なトラブルに遭った楽器を何度も見た事があります。

 良いケースの性能として、上記のような「耐衝撃性能」だけでなく、「耐環境変化性能」もあります。ケース(またはケースカバー)が肉厚だと、室内外での環境差が生じたときに(例えば夏の暑い時、冬の極寒の野外に出たとき)、楽器にかかるストレスを最小限に抑えることができるのです。良いケースとは、このような見えない地道な仕事を当たり前のように働いているのです。

 ケースとは「自分が楽するため」ではなく、「ご自分の楽器が喜ぶようなケース」であるべきなのです。もっとご自分の大切な楽器の声を聞いてあげてください。

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