私が仕事用としてよく使っているレンズは数種類あるのですが、強いて言えば一番活用しているレンズは、Canon TS-E90mm f2.8 シフト・ティルトレンズです。

 このレンズはアオリ撮影ができるレンズで、Canon一眼レフカメラの代名詞のレンズの1つでもありました。最近でこそNikonでも同様のレンズが存在しますが、以前にはこのレンズを使いたいがために、Canonのシステムへ総交換した人もいるくらい、ちょっと特殊な魅力のあるレンズです。

 「アオリ」撮影には様々な高等テクニックがあり、私はそれらを全てマスターしているわけではありません。私が活用しているのは、ティルト機能を使っての被写界深度のコントロール機能です。被写体のピントが合う部分を意図的にコントロールできるのです。もちろんレンズの絞りの開け閉めでもコントロールできるのですが、それとは別の効果があります(実際には併用します)。
 具体的な例として、例えば楽器を画面の対角線に(斜めに)配置して撮影したいとします。画面右下のアゴ当てから、画面左上の渦巻き部分までピントを合わせたいときに、普通なら絞り(アイリス)を思いっきり絞ります。しかし、そうすると、背景までくっきり写ってしまいます。そこでアオリ機能を使うと、楽器のピントはくっきりと、しかし背景はちょっとぼやけ気味にというようなフォーカス合わせが可能になるのです。

 私の様にプロのカメラマンでなくても、仕事で「ブツ撮り」を行う方でこのレンズを持っていない方は、購入しても絶対に損はないレンズですよ。

 さて、なんで今さらこのレンズの話題を書いたのかと言いますと、12月下旬にこのレンズの後継機種TS-E90mm f2.8L(何と30万円以上!!)が出るのです。だから、これから中古の旧機種が安く出回るはずです。それが狙い目です!

 もっとも、予算がある人は新機種をお勧めします。1/2倍マクロ機能が付いたらしいので、そこはとても魅力的です。

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