つい先日にもあるお客様と、「子供のヴァイオリン教育の一環として、良い音質で音楽を聴くことの重要性」という話をしました。何度も言うようですが、「演奏者としてのオーディオ」であり、さらに「音楽教育用としてのオーディオ」なのです。

 例えば、スマホやタブレットでネット上の音楽を聴いているとき、またはテレビの音楽番組でオーケストラ演奏をしているときに、コントラバスの音が聞こえているでしょうか? クラシックに限りません。音楽を聴いているときに、ベースラインが耳に入っているでしょうか?

 おそらく、入っているつもりになっているでしょうが、殆どの再生環境ではコントラバスの音域はあまり出ていないはずです。

 すなわち、旋律だけに意識がいってしまっている可能性が高いのです。これはヴァイオリン本体のみの音についても同じように言えます。ヴァイオリンの表面的な旋律成分だけを聴いてしまい、楽器の箱の響き成分を聴かない癖が付いてしまうのです。

 サッカーの試合で言えば、フォワードの動きしか目に入っていないようなものです。野球で言えば、ピッチャーとキャッチャーとバッターだけで試合が成り立っているように錯覚してしまう危険性なのです。

 しかし実際には、ベンチメンバーも含めて、様々な人達が関わって試合が成り立っています。その辺りも含めて観戦するのが、試合の醍醐味であるはずです。

 音楽も全く同じです。旋律(すなわち主役)以外の、縁の下の力持ちを意識して、さらに尊重、尊敬できて初めて、本来の主役としての働きができるはずなのです。

 だから普段から、コントラバスなどの音を聴く意識が必要なのです。特に子供の教育においては、とても重要だと思います。

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