現在お預かりしているチェロは私の工房でお売りしたとても良いチェロです。弦にはパーマネントを使っています。

 パーマネント弦はエヴァピラッツィ弦よりも硬めなので寿命が長いのです(エヴァピラッツィは明るい響き重視の弦なので寿命も短いです)。だからお客様によっては、経済的意味で一年ごとの毛替え+弦交換としている方もいらっしゃいます。響きの良い楽器では、それもありです。

 しかし今回一年ぶりに楽器を見たところ、駒が前倒れになって倒れる寸前でした。

 これまでにも駒が倒れて楽器を破損した方はたくさんいらっしゃいます。そして全ての方は「駒が倒れた」とおっしゃるのですが、私の方が言うと「駒を倒した」とも言えるのです。要するに所有者の注意力の問題です(こう指摘すると反論されるのですが)。

 どんなに注意していても、毎日楽器と接している所有者だからこそ、楽器の変化が見えなくなってしまうものです。

 だから「調整、点検にしらしてください」と言うのです。最低でも、半年ごとにいらしてください。その手間は、かならず役に立ちますから。折角の良いチェロを台無しにしかねません。

関連記事: