ヴァイオリン等の弦楽器は古くなると音が出るようになると思っている人が多いようです。
例えばYouTubeでスチールギターの試奏動画とかを観ても、「さすがヴィンテージギター、音の鳴りが違う!」みたいな事をい言っている人だらけです。
ギターの「ヴィンテージ」なんて、せいぜい1960年代くらいの楽器の事を指していて、ヴァイオリン系で言えば「昨日」みたいな可愛いらしいものです。
ただ、それでも「音の鳴りが違う!」という人が多いのです。
私の感想としては、ヴァイオリンとギターとでは少し仕組みが違うので、同様には考えられないと思っています。
ギターという楽器の構造は平板の響板で、調和振動の発音をするための楽器です。だから鳴らしやすい反面、楽器の構造がへたりやすいのです。だから経年変化によって音質が変わりやすいのです。
厳しい言い方をするならば、楽器が劣化しやすく、その劣化の変化を「ヴィンテージ感」として良い方向に捉えているのだと思います。事実「鳴りやすい」のと、「張りのある音」は相反することが殆どです。
一方ヴァイオリンの場合には、響板の中心部分は厚めで、さらに隆起を持った構造の響板です。さらに強制振動によって発音が持続されます。
このような構造の楽器では、数十年とか100年くらいでは楽器が劣化しないのです。
私が数多くのヴァイオリン(~チェロ)を扱ってきた経験からすると、古い楽器だからと言って音が出るようになるということは無いと感じています。
もちろん「変化」はあります。しかし、それは「音が鳴る」という変化ではありません。
具体的に言うのならば、出来の悪い楽器が150年経ったからと言って、素晴らしい楽器になることはないのです。
それでは「木材の経年変化」による音の変化は無いのか?というと、もちろんありますが、それは意外と小さな変化です。それよりも大きな影響は、修理とか、長年の変形とかによる構造的な変化の方が影響は大きいと思います。
一番音に影響が大きいのは、「新作で出来上がった時の、構造(作りの良さ)」です。結局、楽器の音とは、生まれた時のクオリティーの延長でしかないのです。人間で「三つ子の魂百まで」と言いますが、それと同じです。
「古い楽器」を過剰に美化すべきではありません。美化すべきなのは、「素晴らしい楽器」です。
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