書籍、「弦楽器のしくみとメンテナンス」とならんで、私の工房のロングセラー商品となっている「弦楽器製作工程のビデオディスク」ですが、撮影してからもうずいぶんと時間が経ちました。中に映っている私が、若いです。
2005年~2007年の期間に撮影したはずですが、当時の映像アマチュアの私が手に入れることができる最高の機材を使って、時間をかけて撮影しましたから、未だに色劣っていないと自負しております。もちろん肝心の技術的な内容に関しては、当然今も変わりはありません。
2004年末にはそれまでNHKしか導入できなかったようなハイビジョン機材の民生機が発売になった年でした(正確に言えば2003年にビクターのHDV機が発売されていますが、実質はSONYのHDR-FX1が発売になった2004年9月がハイビジョン元年と言っても良いと思います)。まだハイビジョンデータの編集も、そしてBlu-rayディスクの字幕付きディスクが制作可能なオーサリングソフトもほとんどない(業務用のむちゃくちゃ高価なオーサリングソフトは別として)状況でしたから、私の知る限り映像業者でハイビジョンに手を出している人はこの時期にはほとんどいなくて、そのようなノウハウも自分で試行錯誤しながら作り上げていきました。
ハイビジョンビデオカメラはCanon XL-H1、Sony HVR-Z1JなどのHDV機から使い始めたのですが、操作性の問題とか画質の向上のためにSONYのXDCAMハイビジョンビデオカメラのPDW-F330という業務機に乗り換えました。ビデオディスク中の多くはこのPDW-F330で撮影した映像です。その後にはSONY PDW-700に換えて、このカメラを長く使い続けています。特殊撮影にはSONY NEX-FS700JとかCanon EOS C300とかも使っていますが、作業光景を撮影するにはPDW-700が一番使いやすいカメラです。
一番苦労したのはBDのオーサリングソフトでした。業務用オーサリングソフトのScenarist(BD版)なんて数100万円もしたので論外でしたし、なかなかよい字幕作成可能なBDオーサリングソフトはありませんでした。そのような中でようやく見つけ出したのがDVDit Pro HDというオーサリングソフトでした。このソフトで初めてのBDを焼いたときの感動は今でも思えています(ちなみに、BDレコーダーを使ってBDを作成する方法は、もう少し前からありました)。
その後、H.264 AVCレンダリング+オーサリングの追求とか、マルチカメラの編集(演奏会撮影)とか、はたまたマルチアングルオーサリングの可能性の追求とか、色々行ってきました。ちなみに映像編集ソフトはAdobe Premiere、AVID Liquid、SONY Vegas Pro、Canopus EDIUSなどを色々試した結果、最近はずっとVegas Proに定着しています。ちなみに、レンダリングソフトのMainconcept Referenceも併用しています。
しかし、こうしてあらためて私のハイビジョン撮影・編集・オーサリング試行錯誤歴を振り返ってみると、まだ10年経っていないのですね。
そんな苦労の末に生み出した、「弦楽器製作行程ビデオディスク」、是非どうぞ!
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