先月亡くなった恩師、カントゥーシャ氏のお墓にお花を添えてきました。立派なお墓でした。実はこのお墓には工房の跡継ぎの息子と、その翌年に亡くなった奥さんも入っているのです。皆、私がお世話になった人たちです。
その後、駅に迎えに来てくれていたカントゥーシャの娘さん(ハープ奏者)と一緒に家に行きました。私が工房で仕事をしていたときには皆健在で、私も含めて多くの人が出入りしていた家なのに、今は住人がいなくなって、家の中は時間が止まったようになっていました(二人の娘さんたちはミッテンヴァルトには住んでいないのです)。
なにもかも、私が居たときと同じ。
ドアの呼び鈴を押したら、奥さんか、カントゥーシャが出てきそうでした。
工房の中も改めて見させてもらいましたが、仕事の途中で休憩に行ったような、いつものカントゥーシャ工房でした。カントゥーシャのノミやカンナも、久しぶりに手にしてみました。相変わらず、刃がビシッと研げてあるのです。流石です。
この家も、工房も、道具や材料も何から何まで、処分してしまうことになるだろうと話していました。現在カントゥーシャと親しかった製作者に、色々と相談している最中だと言うことを聞かされました。そして私の大切な思い出の一つも無くなってしまうのです。寂しいけれど、そういうものでしょう。想い出の中に住んでいてはいけないのです。
最後に娘さんから、カントゥーシャの木材をいくつかもらってきました。さらに、カントゥーシャが最近使っていた非売品だったヴァイオリンも譲ってもらいました(こちらは正規の値段で購入しました。このヴァイオリンは販売予定です)。
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