私の師匠のカントゥーシャ作のヴァイオリンは、その製作精度の高さと、製作の特徴（彫りが深いです）、オリジナルデザインの駒の話が注目されがちなのですが、私が注目していただきたいのはその音です。

　とにかく、全音域に渡ってバランスが良いのです。特に通常のヴァイオリンでは発音がしにくいAの開放弦あたりも、素直に音が出ます。

　正直言って、完全どノーマル状態のカントゥーシャ作のヴァイオリンは、音が柔らかすぎて、多くの方は物足りなく感じるかもしれません。カントゥーシャ作のヴァイオリンを試奏したけれど、そこまで魅力を感じられなかったという方は、そのような状態の楽器だったのかもしれません。

　それで私は部品を再加工したり、肩当てを調整したり、魂柱をカントゥーシャとは若干違うように調整したり、または性能の高い弓と組み合わせて使わせたり（これは全ての楽器に於いてもそうなのですが）、音に張りをもたせるのです。カントゥーシャには悪いですが、一皮むけた音になります。本当の事を言うと、オリジナルの駒ではなくて、普通の駒を使った方が音は良いくらいです（オリジナルの駒だとソフトな音になります）。

　今現在、試奏可能なヴァイオリンがありますから、興味のある方は是非いらしてください。

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