私の中学生の娘やその友達、または私の工房の若い世代の顧客を見ていると、携帯電話を肌身離さず持っていて、暇さえあればそれをチョコチョコ打って「短い会話」をしているのです。
 最近はインターネットでもその傾向は強まっていて、以前は「ホームページ」を構築していたのが、その後日系列に日記を並べていく「ブログ」が普及し、現在はさらに短い文章の「つぶやき」を並べていく「Twitter」が流行らしいです。私もインターネットを活用している一員なので、それらを否定するわけではありませんが、しかし何かがどんどん軽薄短小化しているような気がします。
 私の工房に初めていらしたお客様から、「思い切って工房を訪ねてよかった!」という言葉をいただくことが多いです。そうなのです、インターネット上で調べたバーチャル情報なんて、直接お会いして交わす「現実の情報量」に比べたらゴミみたいなものなのです。まさに「百聞は一見にしかず」です。
 初めての工房(または楽器店)を訪ねるときには勇気がいるものです。それどころか、行きつけの工房に通うのもけっこう面倒(時間がなかったり、遠かったり)なものです。しかしその努力こそが、自分の楽器やさらに自分の音楽を作っていくのです。私は「調整とは脚で行うものだ」と言い切っているくらいです。
 「勇気を出して現実の世界へ一歩」というのは、なにも楽器の話しだけではありません。全てにおいて当てはまります。まずは外に一歩踏み出して、そして「人との会話」をしてみてください。そこから必ず何かが生まれます。

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