先日、知人とのオーディオ雑談中に、私が「きちんとしたFMチューナーで聴くFM放送の音質の素晴らしさを見直した」という事を話したら、「インターネット放送のRadikoの音も良いので、それで十分なのでは? オリジナルのFM電波の音質と、そんなに差があるの?」と質問されました。
以前にも一度比較した事があるのですが、もう一度確認してみました。
比較は、オーディオアンプに接続したFMチューナーと、ネットワークプレーヤー(Radiko機能有り)の音質を切り替えて聞き比べてしました。
アンプ:Accuphase E-470
FMチューナー:Accuphase T-109
ネットワークプレーヤー:Pioneer N-70AE
試聴局:NHK FMのクラシック番組(少し古い録音のソースでした)
まずはFMチューナーでいつも通り聴いた後、ネットワークプレーヤーに切り替えてRadiko版のNHK-FMの音を聴いてみました。Radikoのその音は、一聴、「綺麗」という音でした。この音だけを聴いたら、不満は無いとも言えるような音でした。
次にもう一度FMチューナーに切り替えてみたら、音質の差は歴然です。聞こえてくる情報量が全く違うのです。例えば、録音ソースに入っているテープのヒスノイズとか、会場の雑音とか、またはヴァイオリンの高倍音とかが、良い意味でも(悪い意味でも)きちんと聴き取れます。音の密度が全く違うのです。
一方、RadikoのHNK-FMの音は、高い周波数帯域の情報(または中低周波数帯の情報も?)を、バッサリ切り取っている感じでした。一見綺麗な音に聞こえるのは、情報量があまりにも少ないからなのです。
この例えが適切かどうかはわかりませんが、例えば人の顔を描いたとして、その髪の毛の黒色を塗ったとします。RadikoのNHK-FMの音は、パソコンでワンクリックで黒色をパッと塗りつぶした感じ。一方、生のFM放送の音は、様々な色を筆で重ね合わせて髪の毛の黒を表現した感じです。一見、パソコンの黒色の方が「綺麗」に感じるかもしれませんが、しかし黒色の深みというか情報量というか、密度は全然後者の方が多いのです。私にはこのような差に感じます。
最近の若者は(いや我々同世代も)、この程度の音で満足している人があまりにも多いのです。
これは楽器においても全く同じです。「それで十分」と中途半端に満足してしまっているのかもしれません。
本当の意味での良い楽器(何度も言いますが、ラベルとか能書きの事ではないのです)を知らずに、またはあえて知ろうとせずに、一生懸命自分の貴重な時間を費やしている人がいかに多い事か‥。勿体ない。
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