馬毛が弓の毛幅の片側から徐々に切れていく人がいます。
その原因は、弓の傾けすぎにあります。
それではなぜ弓を傾けすぎて弾く癖があるのかというと、弓が弱いからなのです。弓が潰れやすいために、自然と弓の毛を(平行近くになるように)張りぎみにします。そうすると原理的に弓が跳ねやすくなってしまうので、クッション性(サスペンション性)をもたせようと、無意識に弓を傾けてしまうのです。
これは多くの人に見受けられる癖なのです。癖と言うよりは、弓の性能の低い人が苦肉の策として生み出した技法なのです。
そういう傾けすぎのボウイングを行っていると、弓の毛が片側から切れていきます。
そして、弓竿の腰の強い良い弓を購入した後にも、その癖が残っていて、どうしても弓を傾けすぎて弾いている人もいます。その場合には、高い性能の弓であったとしても、片側から毛が切れていく傾向にあります。
このように、ある現象には、科学的に説明できる原因が存在するのです。「効率の良い上達」とは、それを理解するところから始まるのです。
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