先日、お客様とチェロの演奏角度の話しになりました。
チェロの演奏角度は単なる演奏者の弾きやすさだけの話しではなく、角度によって、結果的に音も変わってくるのです。
チェロの演奏角度とは、単に楽器の傾きだけの話ではありません。単純に楽器を傾けてしまうと、指板の高さが床面から極端に低くなってしまい、演奏困難になってしまいます。よって、楽器を傾けて演奏する方は、必然的にエンドピンの長さも(無意識に)長めに設定していることがほとんどです。
チェロを傾けて演奏するメリット
・弓の圧力が乗せやすいです。
・弓の横ずれが起きにくい。
チェロを傾けて演奏するデメリット
・楽器本体の加重の掛かり方が、エンドピンの先端向きでなく、エンドピン棒がたわむ向きに掛かってしまう。
・必然的にエンドピンが長くなるので、楽器はさらにぶれやすい。楽器バウンドするイメージです。
・エンドピンと床の角度が浅くなるので、エンドピンが外れやすい(ずれやすい)。
・楽器がぶれやすいので、弓の圧力をかけない弾き方(弦の表面を撫でる弾き方)になってしまいます。これは上記の「原理的なメリット」と矛盾するのですが、こちらのデメリットの方が優先されます。
・楽器がぶれるので、音にムラが出ます。一見発音がよく感じるのですが、実は音によるバラツキがとても大きくなってしまうのです。
・低音が出にくくなる。
このように、チェロの演奏角度を倒しすぎると、デメリットの方が多くなります。
関連記事:
- “Zauberplatte”を使うときには、エンドピンを長く出し過ぎないように
- 私の考案したエンドピンストッパー板は、コントラバスには合いません
- “Zauberplatte”の本当の意味と、その凄さが判ってもらえないのが残念
- チェロのエンドピンの剛性(素材による太さ)と装着角度が重要
- チェロの演奏においても「床」を意識することが重要です