私のヴァイオリンとヴィオラの調整では、肩当ての種類からその装着方法まで総合して、厳密に考えた上での調整をおこなっています。

 よくお客様から、「他の方の使っている肩当てを見て、佐々木さんの工房に通われているということを知った」と、言われます(最近では、同じ事をチェロの”Zauberplatte”でも言われます)。

 その「肩当て」とは、既成のMachOneの肩当てを薄く削って、滑り止めのゴムパッドを交換して、脚もオリジナルの脚から変更するのです。こうすることで、他の繊細な調整と相まって、音質にかなりの影響があるのです。

 ところが良いことばかりではありません。

 価格が高くなるのは当然のこととして、その他にも強度的に壊れるリスクが高くなったり、ゴムパッドも(脚のシリコンゴムも)毛替えと同じように、定期的な交換が必要となります。

 肩当てのゴムパッドの劣化で、そんなに音が変わるのか?と、疑問を持たれる方もいらっしゃると思いますが、これが結構変わるのです。

 その音響的な理由は次の2つです。

  1. ゴムパットの劣化による硬化によって、肩当ての剛性が変化して音に影響する。
  2. ゴムパッドの劣化による硬化によって、肩当てが滑りやすくなり、演奏に大きな影響を与えてしまう(肩当てが滑りやすいと、筋肉が硬直してしまうのです)。すると当然、音質もかなり変わります。

 音質に大きな影響を与えるのは、2.の要因がかなり大きいです。

 このように、私の工房にてセッティングした肩当ては、お金がかかってしまいますが、定期的な再調整(ゴムパットの貼り替え等)をすることをお勧めします。

 

 ちなみに、ゴムパットを交換する作業って、皆さんが想像する以上にもの凄く大変な作業なのです。張る作業よりも、剥がす作業が大変なのです。薄く改造した肩当てに負荷をかけてないように、接着剤を綺麗に取り去る作業がもの凄く高度な技術が必要です。
 安くあげようと思って、自分で適当なことをやったら壊してしまいますから(それに見た目も綺麗に出来ないと思いますし)、ご自分でいじらないでくださいね。

 

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