昨年末の焼き鳥会の雑談の中で、「有料のミュージック配信サービスに入ろうか迷っているのですが、どうなのでしょうね?」みたいな話になりました。
毎月3,000円くらいの料金で、膨大なクラシック曲が聴き放題らしいのです。毎月3,000円というのは、そこそこの料金ではありますが、CDたった1枚分とも言えます。
そういえば以前、私の工房の別のお客で、「クラシック配信サービス、良いですよ」と言っていた方もいました。もう時代はそういう流れなのでしょう。
しかし、私個人の考えとしては、ネット配信の音楽には実体がないので、感情移入が出来ないのです。私の中では「顔が無い」というイメージなのです。
この私の感想は、単なる私の個人的な感想だけの話ではありません。というのは、音楽の情報というのは、その他の視覚情報、そして体験情報と連動して、始めて効果的にはたらくからです。デジタルデータでは、それが希薄なのです。
また、「膨大なライブラリデータ」というメリットは、デメリットでもあるのです。一曲へのありがたみが無くなってしまうのです。例えば、昔のフィルムカメラの時代には、フィルム代や現像代が高かったために、一枚のシャッターに様々な考えを巡らして、押しました。だから、後年、そのシャッターを押した時の記憶が残っているのです。しかし、デジタル時代になったら、シャッターを押した時の記憶がほとんどありません。これは、音楽にも当てはまります。
音楽配信サービスを否定しているわけではありませんが、私個人としては、「月3,000円で聴き放題よりは、月にたった一枚のCDを迷いに迷って購入した方が幸せになれるのでは?」と思います(もっとも、その方はCDを物理的に増やしたくないという考えから、ネット配信サービスを検討しているのですが)。
幸せとは何か? 音楽の感動とは何か? 考えていると楽しいですね。
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