私は弓の性能の話しの中で、「pp(ピアニッシモ)の仕組み」の説明をします。
性能の低い弓を所有している人は、原理的にffが出ないので、自然とppの追求に走りたがるのです。しかし、それらのppは原理的に、マイナスの操作を行う、「かすれたpp」になるのです。
先日、ふとテレビでママさん(シニア?)コーラスの指導光景が目にとまりました。そこで指揮者(指導者)が、ppを歌う部分でこう言っていたのです。
「そういうppの歌い方ではなく、ffのまま小さく歌ってください」、というような説明をしていたのです。
すなわち、最初にコーラス側が歌ったppは、かすれたようなppで、音に芯がない感じだったのです。だから指導者は、「ffの量感を小さくしたものが、ppである」と説明したのです。
この場だけで説明するのは不可能なのですが、圧力(摩擦力)は常にプラス側が必要であって、マイナス側ではかすれてしまうのです。プラスの理論なのです。
私はよく、「声楽家が朗々と歌うように、朗々とした音を出す練習をしてください。ppの音は、そのような朗々とした音の対比として初めて生まれる小さいffなのです」とか「声楽家は練習室でppの練習など(ほとんど)しないはずですよ」と説明します。
今回のテレビ番組のコーラス指導も、私の主張している内容と、全く一緒でした。ネット上で私の文章だけを掻い摘まんで見ている人は、「演奏のド素人のお前に何がわかる」と思われている方も多いと思います。しかし、私のような演奏のド素人でも、「理」を理解していると、ちゃんと正しいことを言えるのです。
重要なのは「理」なのです。
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