先日、あるチェロのお客様と、指板に貼ってある目印シールについて話をしました。

 その方はとても真面目が故に、微妙な音程とか、指の押さえる角度が気になってしまい、その補助として、指板にシールを貼っているのです。

 もちろん、練習の最初の内、そのようなシールを目印とすることは良いと思います。しかし、問題なのは、慣れで、そのシールを貼り続けていることです。

 問題は次の3つです。

1. シールの厚みの段差が原因で、音がビリ付くことある。
 薄めのシールであっても、その僅かな厚みでビリ付くこともあります。

2. ついつい、ポジションを押さえるときにシールの「視覚情報」を頼ってしまう。
 すなわち、練習の補助のために貼ったシールが、練習の本質を阻害してしまっているのです。これはとても重要な事です。

3. 指板削りなどの調整ができない。
 シールをわざわざ苦労して剥がして(剥がした跡もけっこうベトベトしているのです)、指板表面をならしたり、指板削りをするのは手間が掛かるので、あまり手を出したくないのです。所有者は「シールは必要であれば、剥がしても良いですよ」っておっしゃいますが、わざわざ面倒な事は行いたくありません。

 このように、「シールの貼りっぱなし」はよくありません。できれば、「貼るなら最低限の数を」と「貼ったシールを剥がす癖も」という事も意識すべきです。

関連記事: