私がレーザー彫刻機を導入した活用用途の一つは、部品への「焼き印」代わりとして使う事です。
通常我々製作者は、自分自身のサイン代わりとして、特注の焼き印を作って利用しています。私は「AKIRA SASAKI」と「AKIRA SASAKI / TOKYO」という2種類の焼き印を作りました。後者の焼き印の方が字が細かいです。
よく使う場所は駒へのスタンプ、弓製作をしたときには弓竿にも押しました。最近ではエンドピンストッパーにも、この焼き印を押しています。
製作者の中には自分オリジナルのマークの焼き印を作って、楽器内部に押している人もいます。カントゥーシャ氏もそうでした。
これらの焼き印の欠点は、製作費が結構掛かるのと、一旦作ってしまうとデザイン変更とかを気軽に出来ない点もあげられます。さらに、火で焼き印を熱して木材表面を焦がして印を付けるため、細かな字はつぶれてしまう欠点もあるのです。
その点レーザー彫刻機を使うと、驚くほど細かな文字も印刷できますし、文字だけでなく、オリジナルマークなどの印刷も簡単です。
このような駒へのレーザー彫刻機でのサイン入れは、もっとも実用的な活用方法だと思います。
このほかにも、駒にバロック楽器に見受けられるような線の模様を彫る(入れる)事も簡単です。
また、あまりお勧めはできませんが、駒全体にハンドバッグや、包装紙のようなデザイン模様を入れてしまうことだって可能なのです。例えば、お寺の住職だったら「般若心経」とかを入れたり、キリスト教徒なら聖書の文言でもよいでしょう。それによって駒の音響的な特性が変わることはないと思います。部品ならいざとなったら交換可能ですから(安易に、頻繁に交換してはいけません)、可能か?と訊かれたら、こういうのも可能です。
先日、私が実験したテールピースへの彫刻などは、けっこう現実的な使い方だと思います。このように、新たな機械が、新たな技術と可能性を広げるのです。
さらに、下品になると思うので私は絶対に試すつもりはありませんが、横板を曲げる前に事前にレーザー彫刻機で写真をプリントして(木材にもちょっと解像度が粗くはなりますが、写真を彫刻できます)、それを曲げて楽器を製作して、その上からニスを塗って完成することも可能なはずです。
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