私が常日頃から、「良い音への意識」という事を注意、主張しているのはご存じと思います。
ところが「演奏」とか「レッスン」に付いては熱心な方々でも、「音」に関して意識の高い方って意外なくらい少ないのです。そのくらい、皆さん「音」には興味が無いみたいです。
演奏が上手になりたいという向上心はあるのに、良い音を奏でたいという欲求が低いのです。そうすると、良い楽器だとか良い弓も判らず、さらに音のツボも見えてこないので、強引な弾き方になってしまったり、その逆に弦の表面だけを撫でて自己陶酔型の演奏で悦に入ったしまったりしてしまいがちです。高価な酷い楽器を買ってしまうというのも、こういう事の悪影響の表れかもしれません。
すなわち、結果的に「演奏」に悪影響を及ぼしてしまっているのです。
これは子供のヴァイオリン教育において、より深刻です。子供こそ、「悪い音」さえも積極的に吸収してしまうからです。
だから普段から、良い音で聴く努力をしなければならないのです。私がしつこいほど主張している、「演奏者としての、オーディオ装置」です。こう言うと「そんなものよりも、優秀な演奏家による演奏会を聴かせることの方が効果的なのでは?」と思われる方も多いと思います。しかし「演奏会」というのは主観的になりがちで(雰囲気に酔いしれてしまう)、客観的に聴いたり、何度も聴き返したりという行為ができないのです。
例えば、子供を学習塾に熱心に通わせている親に対して、「きちんとした食事をとらせて、栄養管理をすることも、勉強に大きく影響しますよ」とアドバスされたら、素直に納得するはずなのです。これと全く同じ事を、私は主張しているのです。「栄養」なのです。
なにもレコードを聴くべきとか、Accuphaseのアンプを買うべきとか、そういう話ではありません。スマホでYouTubeの音楽を聴いているようではいけないのです。また、スマホ+イヤホンで聴くのも良くありません。きちんとしたスピーカーで聴くべきです。
理想としては、高価なオーディオ装置を揃えて聴いて欲しいです。今までの演奏(者)の価値観が変わるくらい、違った音楽観が見えてきます。しかし、それが無理ならミニコンポみたいな物でも構いませんし、またスマホの音を、少し大型のblutoothスピーカーを接続して鳴らすのでもずいぶん違います。
どのようなオーディオ装置なのかは人それぞれかもしれませんが、「演奏者としてのオーディオ」というものを、もう少し意識して欲しいです。それによって上達は必ずありますから。
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