最近はデータメディア(ダウンロード購入とか、CDとかのコピーとか)で音楽を聴く人が増えていると思います。音楽雑誌やオーディオ雑誌でも「ハイレゾデジタルデータの再生」とか「FLAC再生」とか「メディアサーバー」とか色々書かれています。そのちょっと前のトレンドは「iPodからの再生」とかでした。

 確かにデジタルデータは便利ですし、音質も以前のように高圧縮データではないので高音質になっていることは確かです。しかし、音は悪いのです(あくまでも私の個人の感想です)。なぜなら、人間は音の記憶力に関しては、大したことはないからです(音を追求している私が言い切るのは、何ですが)。その証拠に、SPレコードでも心打たれる演奏はありますし、コンサートホールの生演奏が音響的に素晴らしいというわけでもありません。このように、音の本質というのは「音質」にはないのです。
 それでは何が重要なのかというと、「音質」にプラスして「視覚的要素」+「行動」+(「感受性の高い年齢」)なのです。

 例えば私が思い出に残る音を想像したときに、記憶に残っているのは純粋な「音」ではありません。その時の風景や、CD(レコード)を悩みながら選んでいる自分の姿だったり、またはそのCD(レコード)のジャケットだったりします。さらに高価なオーディオをいじくり回したり、オーディオ雑誌の最新機種を眺めている自分だったりするのです。そうそう、レコードに針を落とすあの一瞬の緊張感、高揚感も今となってはたまりません。

 デジタルデータは比較的簡単に扱うことが出来て(マニアは別ですが)、さらに実体がありません。「便利」以外に何も魅力が無いのです。そういった意味で、旧来のCD(レコード)が最高です。

 実はヴァイオリンも全く同じです。「難しいから」、「高価だから」、「壊れやすいから」、素晴らしいのです。

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