我が家の次女は4月から高2になります。部活のオーケストラでは1ヶ月後に3年生が引退するので、実質2年生が中心メンバーで色々な雑用もしなければなりません。

 先日娘が、「部のヴァイオリンが足りないけれど、安く買えないか?」みたいなことを言ってきました。さすがに、子どもの考える「安く」と、私の考える「最低限の安さ(高校部活用としても)」とはかなりの隔たりがあるので、そう簡単に引き受けるわけにはいきません。

 そこで、工房の地下倉庫を色々探してみたところ、以前、ある亡くなったアマチュア製作者のご家族からからまとまってもらったゴチャゴチャの中に中国製のポンコツヴァイオリンがあるのを見つけました。この中国製のヴァイオリンは、最近よく見かける中国製の楽器よりもはるかにクオリティが低く(おそらく20年前くらいの中国製)、その上酷いことに、亡くなったアマチュア製作者が表板の表面をゴリゴリと薄く削っていたのです(それも途中で作業を放棄したまま)。おそらく響板の厚みが異常に厚いので、手っ取り早く薄く削って音を改善しようとしたのでしょう(通常なら響板を剥がして裏面を削るのですが、なぜニスの塗っている表面を・・こんな事をしたら、逆に手間がかかってしまうのに)。

 そんなわけで、状態が余りにも酷い楽器なので、通常ならばいじるのは時間の無駄ですが、ここは可愛い娘のため。

 表板の表面を削り直して整えて、ニスを塗って、中古部品を装着して、弦を張って(さすがにこれは新品)、結構手間がかかりましたがようやく完成しました。手間代を請求したとしたなら、いったいいくらの楽器になることやら・・。

 どうにか見栄えだけは「ヴァイオリン」になりました。弾きやすさも、私がきちんと調整したのでまずまず!しかし、さすがに私が調整しても、音だけは消音器を付けたような音です。まあ、上出来でしょう、これで。

 

後日談です。
 寄付したこの低クオリティヴァイオリンが、「一番弾きやすい」という評判だったそうです。他の部のヴァイオリン、どれだけ酷い状態なのか想像が付きます。もちろん私は関わらないです。

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