先日のドイツからの帰国日の話なのですが、ホテルを少し早めにチェックアウトしたので、中央駅のメイン玄関広場で電車が来るまでの時間つぶしをしていたのです。
私はこれまでのドイツでの経験もあり、普段からスリや置き引きに対してそこそこの注意はしているつもりでした。今回も、壁を背にして、スーツケースの引っ張り用取っ手にビジネスバッグを差し、その横にピッタリ沿うようにして(スーツケースの動きに注意しながら)座ってヘッドフォンで音楽を聴いていたのです。
そうしたら横(左側)から若者がにじり寄ってきました。よく小銭をせびりに来る人がいるので、「また来た。無視無視!」と内心思いながら無視していました。そうしたらその若者が、小銭を意図的に床に転がして「これ落ちたよ」みたいな事を言ってきたので、「違うよ」と言って無視したのです。そうしたらしつこくまた「これあんたのだろう?」みたいに言ってきたので、一応自分の財布を確認するために自分の右側のに置いているスーツケースの上のビジネスバッグに目を向けたら・・・。
「無い!」
ほんの一瞬だけ、何が起きたのか理解できませんでした。「やられた!」 周りを見渡しても、バッグ盗んだ犯人風の人は見当たりません。そのバッグには現金、パスポート、帰りの航空券まで全て入っていたのです。一瞬の時間の中で、「ああ、どうなってしまうのだろう」とも思いました。
ダメ元で、駅の外(駅前の大広場)に走り出て周りを見渡してみました。そうしたら、スーツを着たやつがバッグを胸に抱えるようにして早歩きで遠ざかろうとしているのが目に入ったのです。走ってそいつの斜め後ろまでいって、自分のバッグであることを確認して(正確に言えば、自分のバッグみたいなという程度の確証でしたが)、そいつの肩を後ろからグイッと引っ張ったところ、その犯人はバッグを投げて逃げていきました。
ホッとしたと同時に、「あっ、置いたままのスーツケースはどうなったのか?」と、急いで再び駅玄関に戻ったところ、スーツケースがそのままの状態で見えたときには本当に嬉しかったです。そして「あのまま盗まれていたら、どうなっていたのだろうか」と思い返したら、震えが起きました。
この恐ろしい出来事は、とても長い時間に感じましたが、おそらく10~15秒くらいの間の出来事だったのでしょう。ビジネスバッグが無いのに気がつくのがあと1秒遅かったら、犯人が人混みに紛れてしまって、捕まえることが出来なかったかもしれません。
反省、反省、反省!です。ショルダーベルトを身体から外していたことが無謀だったのです。皆さんも、注意してくださいね。
ホッと一息ついてから、その場を離れようと思って3~4mくらい歩いたら、そこにインフォメーションコーナーがあり、カウンターの中に座って居た係のおっさんと目が合ったのです。たぶんですが、向こうは「よかったね」みたいな感じのニュアンスを目で言って、私も「取り戻したよ!」みたいな感じで目で話したのです。
ところが、インフォメーションコーナーを通り越して歩いている間に気がつきました。「あのやろう、置き引きを目の前で見ていたのに、声も出さなかったのか!」・・と。