一昨日に、あるチェロのお客さまと雑談をしました。その方は以前に私の工房で弓を購入された方なのですが、先日、ヴァイオリンのお友達の弓の試奏に付き添いでいらっしゃったのです。というか、「是非とも試奏しに行くべきだ」と、半ば強引に(?)紹介してくださったらしいです。
どうやら普段の練習中に、目の前で演奏しているヴァイオリンのお友達の、その演奏姿に対して「何か違う」と感じていたらしく、私の工房に連れてきたのです。もちろん、ご自分の弓のグレードアップの体験から、その「何か違う」の原因が弓にあるのではないかと推測したからなのだと思います。
弓の試奏時に、私が「あなたの弓を使っていると、このような演奏をしているのではないですか?」と指摘したことに対して、「まさに、その通りです!私もそう感じていたのですが、実際の演奏を見ないで、それを言い当てたことに驚きました」と、おっしゃったのです。
私から言えば、当然の事を言ったまでの事なのです。例えば整体師が姿勢を診ただけで、「ここが傷みはしませんか?」と指摘できるのと同じで、「理論」が分かれば当然わかることなのです。
逆に言えば、演奏で重要なのは「理」なのです。「科学(物理)」と言っても良いと思います。「芸術」とか「根性」とか「気持ち」ではないのです。もちろん、それらもその後で(応用で)必要になってくる要因ではあるのですが。
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