小学校の低学年の頃は、放課後に友達と集まって、色々な遊びに夢中になったものです。人の家の敷地に入り込んだり、工事現場の作業車に乗り込んで遊んだりと、今思えば悪いことも随分行っていたものです。
 私の家の近くに、「キュウサイ(救済?)さん」と呼ばれているお年寄りの事務所があったのです。草取りをしたり、道路整備の補助をしたりしていたのだと思います。今思えば、「年寄り」といっても60才前後くらいだったのかもしれません。
 その事務所の敷地(作業車の駐車場も)は我々の恰好の遊び場でした。ところがその救済さんの中の一人に恐ろしく怒る人がいて、我々はその人を「鬼」と呼んでからかい、避けていたのです。今でも顔を真っ赤にして怒っている表情(顔自体は忘れてしまいましたが)を時々思い出すのです。
 何十年経った今でも、こうして思い出すということは、その「怒られたこと」が今の私の血か肉になっているのでしょう。年齢からすると、その方はもう亡くなられているかもしれません。しかし、私の中では生きているのです。名前も何も知らない人なのですが・・。
 今私がこうして歳を重ね、その方のあの時の年齢に少しずつ近づいています。その時に「本気で他人の子供を怒れるか?」、自信はありません。親以外で怒ってくれるなんて、「ありがとう」です。今になって思えば・・。

関連記事: