私が渡独した時は東西ドイツが統一されてから2年くらいしか経っていない頃で、住んでいた間に旧東西ドイツの激変ぶりを目の当たりにして(体感して)きました。
 旧東ドイツには莫大な国家予算がつぎ込まれ、大きな街の至る所で「工事中」だったのです。また東の個々の人々への多額の援助金もあったりして、そんな増税に西の人々からは不満の声も吹き出していました。
 私の住んでいたミッテンヴァルトは避暑地なので、旧東ドイツからの旅行客も来ます。その車の品質を見るだけでも、「変化」を感じることが出来たくらいなのです。トラバントとか、それに似た旧東欧の車でたくさん走ってきて来ていたのが、徐々に西の車に置き換わっていきました。
 あれから20年近くの時が経ちました。先日ドレスデンの街に初めて行ったのですが、私がドイツに住んでいたときには瓦礫の山だった聖母教会も立派によみがえり、立派な古い建物と近代的な建物が並ぶ素晴らしい街並みになっていました。
 しかし、そんな中にも「旧東」を感じる所はいくつも見えました。それが良いことなのか、悪いことなのか、私には分かりませんが。今思えば、おもしろい時代にドイツに住むことができて幸運でした。久しぶりにトラバントも発見。
 そうそう、余談になりますが、私の中では未だにドイツでの買い物を「マルク換算」で考えてしまうのです。当時の生活で染みこんだ貨幣感覚なので自然なことだと思うのですが、おもしろいのは現在日本に住んでいるあるドイツ人と「・・あれは何マルクくらだったかな?」、みたいな会話をしたときに、「マルクなんてもう覚えていないよ」と言われたことです。彼は高校卒業後にドイツを離れて日本やアメリカに住んでいたので、マルクを本格的に使う前に円やドルの方を使うようになってしまったわけです。

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