時々テレビで「環境先進国 ドイツ」を紹介していたりします。最近では特に「太陽光発電が日本を抜いた」ということ取り上げられたりしています。しかし「太陽光発電・・」はほんの一部の話です。
私がドイツに渡った1991年の事ですが、ドイツでは既に合い言葉は「Umwelt(環境)」でした。そしてさらに驚いたのは、「日本を見習え!」という意識というか、目標というか、スローガンもあったことなのです。しかし当時の日本はバブルに酔いしれていた末期だったので、私にはなぜドイツ人が日本を褒めるのかピンと来ませんでした(語学の理解度の面もあったのですが)。当時の日本には「環境」の「か」の字も残っていなかったと思います。
少し経ってからわかってきたのは、当時のドイツの環境教育が、日本の高度経済成長期における「公害克服」を手本としていたことだったのです。たしかにドイツの教科書にも載っていました。私はドイツ人から「日本は凄い」と言われる度に、「自負心」と「恥ずかしさ」を同時におぼえたものでした。
このように、現在のドイツの「環境先進国たる由縁」はコツコツと積み上げられた結果なのです。なにも「太陽光発電量」だけの話ではありません。
もう一つ、ドイツの環境先進国の理由というか、本質は、日本よりもはるかに「本音と建て前の社会」でないということです。ドイツに住んでいると、もちろん悪いところもたくさん見えてきますが、しかし日本よりもはるかに「本音と建て前」度が低いということは言い切れます。
日本の事を否定的に言うと、「ドイツかぶれ」と感じる人も多いと思いますが、私が書いているのはドイツのことではありません。「日本の将来」のことです。それも私たちが生きている、ごく近い将来の話です。「環境」だけのはなしではなく、日本の将来の「社会」「財政」「国力(若者の技術力)」など、現在の「本音と建て前」を続けていたらどうなってしまうのでしょうか?